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弁護士 小坂 塁

時間外労働と残業代(3)

時間外労働と残業代(3) 残業代の計算方法

 

前回は、時間外労働が許される例外的な場合と、その限度についてご説明しました。

今回は、時間外労働があった場合の割増賃金についてご説明します。

 

○時間外割増賃金の概要

労働基準法37条1項及び同項に基づく政令によって、時間外労働の賃金割増率は

 

①法外残業(1日8時間を超えて働いた時間)        25%以上

②休日労働                                                               35%以上

③深夜労働(午後10時~午前5時)                       25%以上

 

と定められています。

③の深夜労働割増については、他の割増に上乗せされますので、深夜に時間外労働をした場合は50%以上、休日の深夜に労働をした場合には60%以上の割増賃金を支払う必要があります。

 

以上の3つは一般的かと思いますが、労働基準法37条1項但し書きはさらに

 

④1ヶ月に60時間を超える法外残業部分                 50%以上

 

という規定を置いています。この規定は平成20年の労働基準法改正で追加されたものです。

もっとも、この規定は当面の間中小企業には適用されないこととされていますので、現時点では、ⅰ)資本金額が3億円以下(小売業・サービス業は5000万円、卸売業は1億円)、またはⅱ)常時使用する労働者数が300人以下(小売業は50人、サービス業・卸売業は100人)の事業者には適用されません。

ただし、このように中小企業への適用を除外する取扱いについては、昨今の労働基準法改正案で見直しの動きがあります。法改正がされても、実際に中小企業に上記④の残業代の規定が適用されるようになるまでにはある程度の猶予期間が設けられると予想されますが、給与計算に直結する事柄であるだけに、皆様も関心を持っておいていただきたいと思います。

 

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