2つのベンチマークと今後の銀行との付き合い方
昨年のベストセラーに、「捨てられる銀行」がありました。内容は、銀行は金融庁が26年から求めている企業の事業内容を評価した融資、いわゆる「事業性評価」による融資に取り組んでいかなければ、少子高齢化・地方の過疎化がさらに進んでいく中では銀行や信用金庫など(以下銀行等と言います)は、お客様から取引をされなくなり、捨てられることになるというものでした。
事業性評価により融資を行うというのは実はかなり難しいのですが、その評価のツールとして「ローカルベンチマーク」の活用が期待されています。このローカルベンチマークは、経済産業省が策定したもので、地域経済を担う地域企業の評価の目安として人口の推移などの地域の事情や地域経済の主要産業などの特色などを考慮して評価する手法です。
金融庁の森信親長官は就任直後の平成26年10月から、地域経済の担い手である中小企業者の事業性を評価して、担保や保証人に頼らない融資を銀行に求めてきました。ところが、実態として事業性評価による融資は十分に行われていない状況です。銀行等は相変わらず担保や保証人(保証協会保証を含む)による融資(これを日本型金融と言います)がほとんどで、事業性評価による融資は浸透していません。
昨年9月に、しびれを切らした金融庁は、「金融仲介機能のベンチマーク」を策定・公表しました。これは銀行等に対して、自ら地域に貢献する内容や担保・保証に依存しない事業性評価による融資への取組方針を自ら決めさせて、その実行状況を金融庁検査において検査するための指標(ベンチマーク)です。金融庁検査と言えば、ドラマ半沢直樹で話題になりましたが、検査の結果によっては銀行の営業停止命令が出せるほどの恐ろしいものです。金融庁は銀行等に対して、今後どのような方針で銀行としての機能(これを金融仲介機能と言います)を発揮していくのか(ベンチマーク)を提出させてその状況を検査するのですから、それをできない銀行には事業を続ける資格がないと評価される恐れがあります。言い換えますと、金融庁が求める事業ができない銀行には単独で事業を続けることができないと評価し、続けられる銀行との再編(合併・統合など)を求められる可能性があるということです。
この記事を見ている経営者の皆さんは、これは銀行の問題として関係ないと思われるかもしれませんが、実は銀行等の融資姿勢がどのように変わっていくのか、また、万が一取引銀行等に再編などが起きた場合にどんな影響があるのか、自衛策としてどのようなことが必要なのかを知っておく必要があります。4月18日(火)のアシストセミナーでは、そのあたりを詳しくお話しします。
孫子の有名な言葉で「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」があります。取引銀行などの環境変化を知り、それに対して自社がどのような備えをする必要があるのか聴きに来ませんか?
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