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司法書士 佐々木 英

遺言書を書くときに気をつけることについてその3 寄与分について

●前回までの流れ
前回は遺言書を作成する上で気をつけるべき法的な知識の一つとして
「遺留分」について取り上げました。
今回は「寄与分(きよぶん)」について説明します。

●寄与分とはなにか?

寄与分とは、
共同相続人の中で、
相続財産を維持・増加させることについて
特別の寄与をした人がいる場合、
その「寄与した額」のことをいいます。
ある相続人に寄与分が認められた場合には、
その人は相続分が寄与分の分増えることになります。
わかりやすく例を挙げましょう。
Aさんが死亡して、長男Bさん、次男Cさんが共同相続人とします。
長男BさんはAさんが生前行っていた事業を手伝い、
それによってAさんの財産が減ることがなく、逆に増やすことができました。
一方次男CはAさんとは全く音沙汰もない状態でした。
そのような長男B、次男CがAさんの相続財産を平等に分けることは公平だといえるでしょうか?
長男Bと次男CがAさんの財産を分ける話し合いにおいて、
長男Bが「寄与分」を主張することによって、
長男Bがなした行為を考慮した上で
長男Bが次男Cよりも多く相続分を受け取ることが
公平といえるのではないでしょうか。

●寄与分における注意点

もっとも、相続財産に寄与したといえるためにはそれなりの要件が必要です。
民法上は
● 被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付、
● 被相続人の療養看護その他の方法により
● 被相続人の財産の維持または増加により特別に寄与をした相続人
という要件が課されています。
よって、たとえば、妻が夫の療養看護をしたところで、それは夫婦の当然の義務でありますから
特にそれが財産の維持増加に寄与したといえない限りには寄与分の主張はできないでしょう。
また、寄与分を主張できるのは相続人に限ります。よって、たとえば子の妻が療養看護したとしても
相続人の寄与分とは関係ないということになります。

●遺言書を作成する上での注意点

今回説明した寄与分については、相続が発生した後、
共同相続人の間で話し合いが行われる際に浮上してくる権利です。
よって、遺言を書くときには
残された人たちには寄与分のような権利があるのだということを知っておくこと、
そして、寄与分にも考慮したカタチで遺言書を作成することが必要だと思います。

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