過重労働と労災
厚生労働省では、過重労働対策や職場でのメンタルヘルス対策の充実に取り組むため、
脳・心臓疾患や仕事のストレスによる精神障害の労災補償状況を年に1回取りまとめておりますが、
この度平成23年度における「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」が、6月15日に公表されました。
内容について抜粋しますと、
1.「過労死」など、脳・心臓疾患に関する事案 ・脳・心臓疾患についての労災請求件数は898件で、
2年連続で増加。前年度に比べ96件の増加。
・支給決定件数(労災と認められた件数)は310件で、4年ぶり の増加。前年度に比べ25件の増加。
2. 精神障害に関する事案
・精神障害についての労災請求件数は1,272件で、3年連続で 過去最多を更新。前年度に比べ91件の増加。
・支給決定件数は、過去最多の325件。前年度に比べ17件の増加。
となっている通り、これらの事由における労災申請は軒並み上昇しているようです。
それでは、これら労災の認定基準はどのようになっているのでしょうか。
●脳・心臓疾患の認定要件
(1)発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び 場所的に明確にし得る異常な出来事に
遭遇したこと(異常な 出来事)。
(2)発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと (短期間の過重業務)。
(3)発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に 過重な業務に就労したこと(長期間の過重業務)。
●心理的負荷による精神障害の認定要件
(1)対象疾病を発病していること。
(2)対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理 的負荷が認められること。
(3)業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病 したとは認められないこと。
過重労働やメンタル不調で労働者が働けなくなってしまっては会社にとって大きな損失になります。
また、会社が安全配慮義務を怠ったということになれば法的責任を問われることもあります。
昨今の不況で、ついつい従業員の労働時間が伸びてしまったり、厳しいノルマを課したりしてしまう
こともあったかもしれませんが、これを機会に自社の労働環境を把握して、労働者が生き生きと働け
る環境を整えるきっかけにしてはいかがでしょうか。