農地・森林の所有者の実態について
●相続人が100人!
地方で相続登記の仕事をしていると、農地や山林が地目である土地の名義書換の割合が多くなります。
そして、県土木事務所や市町村の依頼による登記の場合、相続人がとんでもなく多数になってくるケースがあります。
最近うけた依頼では相続人が100人近くになりました。
それぞれの相続人に遺産分割協議書に実印をいただき、印鑑証明書をいただくことを考えると気が遠くなるような作業です。
●自分でも知らずに土地をもっている?
国土交通省は現在「所有者がわからない土地を増大させないための取り組み」を行っています。
同省の統計では 農地所有者数は少なくとも405万人・森林所有者数は少なくとも324万人おり、農地所有者の40人に1人、森林所有者の20人に1人は、所在が掴めない所有者であるということです。
これはどういうことを意味するのでしょうか?
通常、土地や建物というものは大切なものであり、自分が大金を出して購入した土地が誰のものであるかわからないということは考えられないでしょう。
しかし、地方の山林あるいは農地では、おじいさんが所有していた土地が相続登記をしないままに二代・三代と放置されていった結果、自分が知らないうちに自分が所有者になっていることはあり得ます。
●国土交通省の取り組み
先の述べたように国土交通省は「所有者がわからない土地を増大させないための取り組み」を行っています。
なぜかというと、そのような土地は防災や災害復旧、農村活性のための事業、農地の集約による効率化などの国の事業において支障がでるからです。
同省の取り組みとして、司法書士など相続の手続きを行う者に対して呼びかけをしています。
このまま放置しておけば、処分するのに困難な土地はさらに増えることになるでしょう。
その場合の措置の方法をどうするかの検討もしなければならないでしょうが、我々司法書士はまずは土地の相続登記をしっかりと呼びかけてゆくことが大切なのだと考えます。