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不動産鑑定士 大武 克己

平成22年1月から火災保険料が大幅アップの予定

                      
 日本経済新聞の夕刊に、大きく火災保険料値上がりの記事が掲載されていました。
見出しは、火災保険取りすぎ防止へ区分変更、住宅の6割、値上がりかも と出て
いました。政権交代に基づく、ダムの廃止問題や郵政の見直し問題で陰に隠れて
いますが、予定されている保険料の値上がりは平均して約20パーセント、物件に
よっては約40パーセントで、大きく家計に影響します。 

 

 今回の見直しは、保険料の目安を決める損害保険料率算出機構が、火災保険の料
率体系を大きく変更したことを受けた措置です。新聞によりますと、過去に起きた
保険料の取りすぎ問題の再発防止のため、住宅構造の審査方法や区分などの仕組み
を大幅に簡素化し、新しい保険料を来年1月から適用する。契約時の手続や保険金
支払は分かりやすくなるが、区分変更に伴い全住宅のうち約6割で保険料が値上が
りする可能性がある とのことです。

 

 火災保険料の取りすぎ問題とは平成18年に表面化した問題で、誤った保険料区
分の適用や保険料割引制度の適用漏れで損保業界全体で約150万件、約370億
円の取りすぎが見つかった問題です。

 また、加えて保険法の改正が火災保険料の大幅アップに影響しています。従来、
商法にて規定され、約100年にわたり実質的な改正がなされていなかった保険契
約に関する法規定が、保険法として商法から独立し、内容文体とも現代化されまし
た。

 

 保険法の改正のポイントは、現代の保険実務の反映、保険契約者等の保護の強化、
保険制度の健全性の維持が挙げられます。つまり、保険契約の分かりやすさが強く
求められることになりました。顧客にとって分かりやすく、加入手続きも簡単な商
品の実現に向け、複雑な商品内容や保険料体系が大幅に簡素化されます。以上をふ
まえて、損保各社は1月から新商品を発売予定ですが、3つの簡素化で新商品の保
険料は従来の商品に比較して全体的にアップします。

 

■住宅の構造級別の簡素化

 火災保険料は建物の構造(造り)によって異なります。その構造の区分が従来の
5つから3つに簡素化されます。また、従来は、ヤネ、柱、カベの材質(材料)な
どにより構造を判定していますが、見直し後は、建物の柱により構造を判定するこ
とになります。加えて、建物が建築基準法などの耐火基準などを満たすときは、こ
れも構造の判定に反映されることになります。

 

■自然災害補償の簡素化

 台風18号の被害が甚大でしたが、最近では突発的な集中豪雨が発生したり、突
然のたつ巻が発生したりと、予想外の自然災害が多発するようになりました。これ
らの損害を補償する保険は火災保険の風災補償、水災補償ですが、もともと自然災
害は稀なものとして取扱われ、結果、他の補償にないシバリが付けられています。
例えば、風災は20万円以上の損害でないと補償されません。水災は損害割合で補
償額の限度が決められています。このシバリが緩やかになります。

 

■割引の簡素化

 従来の火災保険には多種多様な割引があり、たいへん分かり難いものとなってい
ます。しかも適用に当たっては、各種確認資料の取り付けを求められます。例えば、
オール電化割引の適用に際し、灯油暖房機器の補助的な使用は認められるのかとか、
高機能コンロ割引における最新の対象機種が保険会社のマニュアル作りに間に合わ
ない関係で、その確認資料の取り付けを求められます。 

 

 さて、大きく分けて保険料は以下のようになりそうです。(日経抜粋)
 
■住宅の種類毎の保険料予想

1、マンション   ほぼ横ばい傾向です。
2、耐火建物    コンクリート造りの戸建住宅  約20パーセント値上げ
  耐火建物    外壁がコンクリートの木造住宅 約20パーセント値下げ
3、非耐火建物   外壁が薄い ALCの木造住宅   約40パーセント値上げ
  非耐火建物   通常の木造建物で耐火性が低い 約5パーセント値上げ 

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