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弁護士 小山 明輝

「○○専門」は本当ですか? 弁護士小山明輝のブログ(2)

新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

平成29年(2017年)が明けて早10日。連日の新年会、という方も多いのではないでしょうか。

私も先日、「小竹町商工会」の新春挨拶会に出席してまいりました。

さて、会合等で初めてお会いした方からお受けする質問で多いのは、

「何が専門ですか。」、あるいは「得意分野は何ですか。」

というものです。

この二つの質問、弁護士側としては、実は意味が異なるもの、ということはご存知でしょうか。

 

私ども弁護士も、他の事業者の方々と同様、「景品表示法」【不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年5月15日法律第134号)】の適用を受けます。

加えて、弁護士会が独自に設置しているルール(会規・会則など)の一つに「弁護士等の業務広告に関する規程(平成12年3月24日会規第44号)」があり、業務広告をする際は、この規程を守らなければなりません。

その中で、「禁止される」広告(第3条)として次のものが挙げられています。

事実に合致していない広告

誤導又は誤認のおそれのある広告

誇大又は過度な期待を抱かせる広告

(以下略)

そこで例えば、

「他の事件を例として挙げ、その例と同じような結果をもたらせると思わせるような表現」や、

(「交通事故で1億3000万円を獲得しています。あなたも可能です。」など)

「当事務所ではどんな事件も解決してみせます。」、「たちどころに解決します。」などの表現は

広告として禁止されるのです。(いずれも日弁連「業務広告に関する指針」より抜粋)

 

さて、では「専門分野」、「得意分野」の表示についてはどうか。

まず、「専門分野」については、「業務広告に関する指針」によれば、

「弁護士等の情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項」であるとしながら、その専門性判断の「客観的担保」が取れないまま表示をすることは「誤導のおそれ」があり、ひいて「国民の信頼を損なうおそれがある」

ので、「表示を控えるのが望ましい。」とされています。

誤解を恐れずに言えば、知識・経験・能力等から、誰(少なくとも同業者の多く?)が見ても「あの人は〇〇の専門家(スペシャリスト)だよね。」との評価が得られないのであれば「専門分野」を謳うのは控えなさい、ということです。

これに対し、「得意分野」は、

「・・・その表現からして弁護士等の主観的評価に過ぎないことが明らかであり、国民もそのように受け取るものと考えられる」

ので問題ないとしつつ、

「ただし、主観的評価であっても得意でないものを得意分野として表示することはこの限りでない。」

としています。

平たく言えば、その弁護士が「自分は〇〇が得意だ」と思えば「得意分野」と言って良いが、そうでないものはダメ、ということです。

以上に対し、「取扱い分野(業務)」などは、専門の判断や得意か否かの主観的評価にもかかわらないので、問題ないとしています。

 

このような事情から、「専門分野」を謳うのは、弁護士としてそれなりにハードルが高いのです。

 

しかし、弁護士が急増した現代の日本社会で、「〇〇専門弁護士(法律事務所)」を望む声が高まっているのも事実です。

私も、いずれ、堂々と「専門」を掲げられるよう、今年も引き続き精進してまいります。

(弁護士 小山 明輝)

 

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