未成年者がいる場合の遺産分割協議について
▼未成年者がいる場合の相続のご相談
私の事務所では、ある方がなくなったので、その方の土地建物を相続人の名義に変更してください、という相談を承ります。
先日、お話を聞いていると、被相続人(死亡された方)はまだお若くして死亡し、その相続人は相談者である妻と未成年のお子さん二人でした。
被相続人の方は「遺言」をしていませんでした。
お子さんも小さいことから、相談者である奥さんが土地建物の名義人になることをご希望でした。
また、亡くなった夫は小さな子供さんたちのために、特に財産を残すということもしていなかったようです。
▼遺産分割協議について
亡くなった夫名義の土地建物という相続財産は、夫が亡くなった時点で、いったんは法定相続という形で、妻と子供二人が権利を取得します。
よって、妻が単独所有するためには、妻と子供二人の間で「遺産分割協議」という話し合いをする必要があります。
▼特別代理人について
母親は通常は子供たちの法定代理人となります。
よって、母が子供たちの代わりに「遺産分割協議」を行えばよいということになるでしょうか?
この場合、母と子供たちは「利益相反」の関係にあるといいます。
母は子供たちが取得するはずだった財産を、子供たちの利益を無視して我が物にしてしまうことができる立場にあります。
よって、そのような場合に子供たちの権利を保護してあげる必要があります。
子供たちの権利を保護する制度として「特別代理人」の制度があります。
▼特別代理人の制度とは?
特別代理人とは家庭裁判所に対して特別代理人の選任申立をすることによって、家庭裁判所が中立な立場にある人を選任します。
その特別代理人が子供たちそれぞれの代理人として行動し、母親はこの特別代理人たちと遺産分割協議をすることになります。当然特別代理人は子供たちの利益を守るために行動しますから、子供たちが一方的に損をするような協議をすることは許されません。
▼まとめ
さて、最初に戻ります。
亡き夫名義の不動産を相続した妻と子供二人ですが、
子供二人について家庭裁判所で特別代理人を選任した上で、妻はこの特別代理人と遺産分割協議をすることによって不動産の登記名義人となってゆきます。
ただし子供二人には不動産の名義を放棄する代わりに金銭での対価を得ることにするなど、子供たちの利益が守られる形の遺産分割協議になっていることと思われます。