雇用調整助成金の不正受給調査が4月から強化されます
今回の雇用危機に際しては雇用調整助成金および中小企業緊急雇
用安定助成金が、その雇用の維持に大きな役割を果たしてきました。
しかし、これまでもかなりの不正受給があると言われており、事実、
これまでの労働局等による実地調査等の結果、52事業所、約1億
9,350万円を不正として処分し、支給した助成金の返還と不正後3年
間の助成金の不支給措置が行なわれています。
こうした状況を背景として、4月1日より助成金を受給している事
業主に対する実地調査が強化されると共に、休業等を実施した労働
者の一部に対して、電話によるヒアリングが実施されます。また、
より的確な実地調査を行なうため、以下の見直しも行われることと
なっています。
1) 教育訓練に係る計画届及び変更届の内容の見直しについて
計画届については、これまで、休業又は教育訓練の予定日及び実
人員数のみを記載することとされていましたが、今後は教育訓練に
係る計画届については、労働者別に予定日を記載することが求めら
れます。また、計画に変更があった場合は、これまで計画の範囲内
で休業等が減少するものについては、変更届の提出を不要とされて
いましたが、今後は教育訓練に係る計画届に限り、減少する場合も
変更届の提出が求められます。
2) 教育訓練実施に係る確認方法の見直しについて
教育訓練については、実際には通常の生産活動を行っているにも
かかわらず、教育訓練として不正に申請されるケースがあったため、
単に教育訓練を実施したことの証明だけでなく、教育訓練を実施し
た個々の労働者ごとに受講を証明する書類(事業所内訓練の場合の
受講者アンケート、事業所外訓練の場合の受講料の領収書等)の提
出が求められます。
雇用調整助成金はこれまで雇用維持のために素早く助成金を支給
することに主眼が置かれた運営がなされていましたが、その結果、
多くの不正受給が行なわていると以前より指摘されていました。今
後はその方針が見直され、不正受給防止に向けた様々な取り組みが
行なわれることとなります。
参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金に係る不正受給防止対策の強化について」