相続税法第24条「定期金に関する権利の評価」が改正になります。
相続税法第24条「定期金に関する権利の評価」が改正になります。
平成22年度税制改正大綱で、定期金に関する権利の相続税および贈与税の
評価を改正することが明記されています。
そこで、今回は、この改正について、現行との比較、注意すべきポイントを
お伝えしたいと思います。
まず、改正案と現行税制の評価方法を次の表で比較しました。
┌─┬──────────────┬────────────────┐
│給│ │ │
│付│ 改正案 │ 現行 │
│事│ │ │
│由│ │ │
├─┼──────────────┼────────────────┤
│ │次のうちいずれか高い金額 │【有期定期金】 │
│ │ ~~~~ │次のうち、いずれか低い金額 │
│ │1.解約返戻金相当額 │ ~~~~ │
│ │ │1.給付金額総額×残存期間に応じ│
│ │ │ た次の割合 │
│ │2.一時金相当額 │ 5年以下…70% │
│ │ (定期金に代えて一時金の給│ 10年以下…60% │
│ │付を受けることができる場合)│ 15年以下…50% │
│発│ │ 25年以下…40% │
│生│ │ 35年以下…30% │
│ │3.予定利率等を基に算出した│ 35年超…20% │
│ │金額 │2.1年間に受けるべき金額×15倍│
│ │ ├────────────────┤
│ │ │【無期定期金】 │
│ │ │1年間に受けるべき金額×15倍 │
│ │ ├────────────────┤
│ │ │【終身定期金】 │
│ │ │1年間に受けるべき金額×受給権者│
│ │ │の年齢に応じた倍数(1~11倍) │
├─┼──────────────┼────────────────┤
│未│ │払込済み保険料等(総額)×払込開│
│発│原則、解約返戻金相当額 │始時からの経過期間に応じた割合(│
│生│ │90%~120%) │
└─┴──────────────┴────────────────┘
ご覧のとおり、評価方法がずいぶん変わります。
現行であれば、たとえば8,000万円を一時払いして給付金総額1.6億円の36年定期の年金を契約し、受給開始後すぐに贈与した場合には、現行では、1.6億円×20%=3,200万円の評価になります。そのため、評価を下げられるいわゆる「節税商品」として、契約された方も多いのではないでしょうか。
この改正については、上記評価方法のほか、改正時期について注意しなければなりません。
たとえば、給付事由が発生している場合の評価方法を現行により評価するためには、次の全ての要件に該当しなければなりません。
(1)平成22年3月31日までに契約すること
(2)平成23年3月31日までに給付事由が発生すること
(3)平成23年3月31日までに相続又は贈与が発生すること
(1)の契約期間に猶予が設けられているためか、現在さまざまなところで
定期金を販売しているようです。みなさまの手元にも、契約の提案やパンフレット等がございますでしょうか。ここで注意が必要です。そこに書かれている給付開始日はいつですか?
平成23年3月31日までに給付開始をしていないと、上記(2)に該当しません。つまり、給付事由が未発生ということになり、現行の「節税」を享受できなくなる点にご注意ください。