パートが年休を取得した際に支払う賃金額
来春(2010年)の労働基準法改正では年次有給休暇(以下、「年休」
とする)に関する改正が実施されますが、年休に関してはパートタ
イマー等の時給者が年休を取得した場合、いくらの賃金を支給すれ
ばよいのか対応に困ることがあります。そこで今回は、パートが年
休を取得した際の賃金額について解説しましょう。
そもそも年休を取得した際に支払われるべき賃金は、以下の3つ
のいずれかとされています。
1)平均賃金
2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3)健康保険法の標準報酬日額に相当する金額
1)、2)のいずれによるかはあらかじめ就業規則に定めておく必要
があり(労働基準法第39条第6項)、3)については労働者の過半数
で組織する労働組合、組合がない場合は労働者の過半数代表者との
間で労使協定を締結することになっています。実務的には、2)の通
常の賃金を支払っている企業が多いのではないかと思います。
ここで問題になるのが、パートが年休を取得した場合に支払う賃
金額を如何に設定するかです。例えば労働契約書において1日の所
定労働時間が6時間といったように固定されている場合は、上記の
1)から3)のいずれの方法によっても、特に問題はありませんが、例
えば、月曜日が4時間、水曜日が6時間というように曜日によって所
定労働時間が変わってくるような場合には、2)の方法で支払うこと
になっていると、休む曜日によって手当額が変わってしまいます。
年休取得の際の賃金額についてはその取扱いを就業規則において
定めることとなりますが、こうしたパートタイマーの状況を前提に
考えると、1)の平均賃金に基づき手当を支給することが有効です。
これにより、いつ年休を取得したとしても労使双方にとって公平な
取扱いができます。ただし、平均賃金とした場合、毎回、平均賃金
を計算する必要があるため手間が残ることに注意が必要でしょう。